2009/09/13

米国はパスタ消費国か

海外に移住したとき、食の面で困ることは、
日本で一番好んで良く食べていたものが無い場合だろう。
それがいわゆる日本食か、といえば、自分の場合そうではなく、
実はパスタだということに気が付いた。

シカゴのパスタは、(1)茹ですぎ、(2)大味、(3)ボリュームが多すぎる、という欠点があり、
まったく食べる気がしない。
(1)については、「アルデンテ(al dente)」という概念が存在しない。その理由は、微妙な茹で時間を計る細かさが調理人にないためだろう。茹できってしまえば、茹で時間の多少の誤差は問題なくなるということかもしれない。茹でたパスタを軽く炒めるなどの工夫も無いため、パスタはぼろぼろと切れてしまう。
(2)については、トマトソースが水っぽい場合が多く、また、味付けもやたらと塩味がきつかったりする。
(3)については、日本のレストランの2、3倍の分量を出してくる場合が多い。

旨いパスタを食べるには自分で作るしかない。
ということで、ホールフーズ(Whole Foods)という大手のオーガニック食料品店に向かった。

さて、何のパスタを求めるかといえば、ずばり「ミートソース・スパゲッティ(Bolognese)」
だ。馴染みのあるディチェコ(De Cecco)のパスタを買い物かごに入れ、ソースの棚に向かう。しかし、種類は多いものの、アラビアータやマリナーラばかりで肝心のボロネーゼが無い。日本のスーパーには「マ・マー」のミートソースが山積みになっているし、成城石井などの高級食材店にはピエトロのソースが並んでいるが、まったく状況が違う。



考えてみれば、これまで米国でボロネーゼを売り場で見たことが無い。肉とピザの消費量が多い米国で、ボロネーゼをあまり見かけないのは意外だ。さらに、日本で売っているカルボナーラやナポリタン、また、レストランやシェフとタイアップした気の利いた商品も無い。それとも欧州各国と比べても日本だけが特殊なのだろうか。

とにかく、米国では家庭でのパスタの消費量が日本ほど多くなく、また種類も少ないという可能性がある。言い換えれば、日本は、実は大変なパスタ消費国なのではないだろうか。

求めるソースが無ければ作るしかない。アラビアータの瓶を手にとり、
人生で初めて挽肉を買った。家に戻って挽肉をオリーブオイルで炒め、アラビアータと混ぜる。
食材、調理器具かかなり限られている中で、第1号としては、合格の一皿ができた。



「必要は発明の母」とはよく言ったものだ。
なお、スパゲッティーを茹でられる大きさの鍋が無いため、今回はフジッリを使った。

ついでに、イタリアの輸出統計から、パスタの国別輸出量を見て、一人あたりの量を計算すると、はやり日本の方が米国より多い。

イタリアの非調理パスタ(HSコード19021910)国別輸出量
(出所)イタリア輸出統計

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